ワキガ手術は後遺症が発生する?原因と対策
- 公開日: 2023/07/27
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ワキガの手術で心配なのが後遺症。そもそも健康を害しているわけではないのに、生涯残ってしまうような「後遺症」が生じたとしたら、後悔してもしきれません。
ワキガ手術の標準的な手法である「剪除法」は、経験豊富な医師のもとで施術を受け、術後生活に関する注意事項をしっかりと守れば、深刻な後遺症が残るリスクはかなり低いとされています。過剰に不安に思う必要はありません。
ただし、メスを使って皮膚を切開する「医療行為」である以上は、ほかの手術と同じように、後遺症のリスクをゼロにできないことも事実です。
この記事ではワキガ手術で起こりうる後遺症の種類と原因、その対策について、手術以外の「切らない治療」との比較を交えながら解説します。
執筆者 綾部 誠
福岡美容皮膚科あやべクリニック院長。日本美容外科学会認定美容外科専門医。東京医科大学医学部を卒業後、久留米大学病院の形成外科医師として勤務。1997年に福岡美容皮膚科あやべクリニック開院。美容外科医として30年以上にわたり勤務した経験を活かし、情報発信を行っている。
[目次]
ワキガ手術で後遺症が発生する?
切開を必要とする手術は傷跡を避けることができません。そのため、傷が目立たなくなっていく過程を「後遺症」と感じてしまうことがあります。その他の後遺症には、傷口の状態が悪化した場合の目立った傷跡、黒ずみやひきつれなどの皮膚の変質、痺れやひきつれが挙げられます。
切開傷や色素沈着は避けられない
ワキガ手術の標準的な手法「剪除法※1」は、臭い症状の原因「アポクリン腺※2」を医師が直接見ながら取り除く外科的治療です。そのために、ワキの下の皮膚を4〜5cmほど切開して反転させますので、術後には次のような傷が残ります。
①赤い線状の切開傷
②色素沈着(黒ずみ)
どちらも避けられませんが、経過が順調であれば「一般的なケガ」と同じように肌になじんで目立たなくなっていきます。
※1 剪除法(皮弁法)
出典元:日本医科大学 武蔵小杉病院 形成外科 – ワキガ(腋臭症)の治療~ニオイの診断と手術
※2 アポクリン腺
出典元:National Library of Medicine Histology, Apocrine Gland
剪除法のダウンタイムは?
剪除法では普段通りの生活を送れるようになるまで少なくとも1カ月の期間を必要とします。剥離したワキの皮膚を再び生着させるためです。切開傷が目立たなくなるには1年程度。色素沈着は一般的に数カ月で消失しますが、体質によっては数年かかることもあります。
ワキガ手術で起こる後遺症7種類

ワキガ手術で起こりうる後遺症は次の通りです。
①皮膚の腫れ
じわじわとした鈍い痛みをともなうワキの皮膚の腫れが、3〜7日続きます。長期化したり鋭く痛む場合には、何らかのトラブルが疑われますので、すみやかに専門医を受診しましょう。
②内出血(血腫)
最もよく起こる術後のトラブルが内出血(血腫)です。不用意にワキを動かしてしまった場合などに再出血してしまう状態で、鋭い痛みをともないます。血流が滞ってしまうと皮膚の壊死を招きますので、迅速な対応が求められます。
③皮膚の壊死
内出血による血流の滞り、皮膚の生着がうまくいかなかった場合に起こります。皮膚の壊死を防ぐには術後の「安静」が大切です。医師からの「生活に関する指示」をしっかり守るよう心がけましょう。
④肥厚性瘢痕・ケロイド
切開の跡が赤く盛り上がった状態が「肥厚性瘢痕」です。※3深い傷や、回復に時間を要した傷に生じやすく、稀に痛みやかゆみ、ひきつれをともないます。「ケロイド」も似た性質です。ケロイドの出現には体質が大きく関係すると言われており、徐々に大きくなることがあるのが特徴です。
※3 切開の跡が赤く盛り上がった状態が「肥厚性瘢痕」です。
出典元:Hypertrophic Scar
⑤ひきつれ・しこり
皮膚の「ひきつれ」や「しこり」は術中の皮膚へのダメージが原因で、比較的多くの方に生じる症状です。そのほとんどは 3カ月程度で改善されて、1年が経つころには消失します。
⑥粉瘤
表皮の老廃物が排出されず、皮下に袋状に溜まってしまう状態が「粉瘤」。手術の数カ月後に生じる稀な症状です。放置すると徐々に大きくなり、化膿することもあります。悪化した場合には切除が必要です。
⑦肌のしびれ
術後にはワキの皮膚の感覚が一時的になくなったり、二の腕に軽いしびれを感じることがあります。表皮近くの毛細神経へのダメージが原因で、通常は数週間で治ります。※4なかには体質的な要因で数カ月間続くケースもありますが、生涯にわたって残る例はごく稀です。
※4 表皮近くの毛細神経へのダメージが原因で、通常は数週間で治ります。
出典元:LOSS OF SENSATION AFTER SURGERY
ワキガ手術での後遺症を起こさない3つのコツ

後遺症を残さないためにできることは「実績豊富な専門医を頼ること」「術後の安静を守ること」「後遺症のリスクが低い治療法を検討すること」の3つです。
実績豊富な医師を頼る
ワキガ手術は専門性の高い治療です。実績豊富な医師に依頼することで、質の高い施術を受けられる可能性は必然的に高まります。
また、当事者の治療に関する認識不足も後遺症と感じる原因になります。カウンセリングや診察が丁寧な医師を選ぶことも大切です。
術後の安静を守る
ワキガ手術で後遺症を残さないためには、術後の安静を守ることが重要です。
特に注意したいのは、切開部がデリケートな状態にある術後の1週間と、気が緩んでしまいがちな抜糸後の2週間です。この期間をどれだけ安静に過ごせるかが、後遺症を回避する鍵といっても過言ではありません。皮膚がしっかり生着したことを医師に確認してもらうまでは慎重な行動を心がけましょう。
切らない治療も検討する
切らない治療でも、よほど重度の症状でない限りは生活に支障をきたさないレベルにまで臭いを軽減できます。切らない治療には、後遺症のリスクはほぼありません。費用面に折り合いがつくのであれば有力な選択肢となるでしょう。
次に「剪除法」と「切らない治療」のメリットとデメリットが一目でわかる比較表を用意しましたので、検討にお役立てください。
剪除法 | ミラドライ | ビューホット | ボトックス注射 | |
方法 | ワキの皮膚を切開、反転して原因となる汗腺「アポクリン腺」を直接除去する | ワキの表皮からマイクロ波を照射し、「アポクリン腺」を含む汗腺全体を破壊する。多汗症の承認を受けた治療機器 | ワキに穿入した極細の針から高周波を発して、「アポクリン腺」を破壊するワキガ専用の治療機器 | 発汗の指令をだす神経伝達物質を遮断して、ワキの汗を減少させる |
適応症状 | 中等度〜重度 | 軽度〜中等度 | 軽度〜中等度 | 軽度 |
メリット | 重い症状の改善費用を抑えられる | 傷が残らない生活制限がほぼない多汗症の改善 | 傷が残らない生活制限がほぼないアポクリン腺をピンポイントで破壊できる | 傷が残らない手軽に受けられる |
デメリット | 傷が必ず残る術後の行動制限が厳しい | 重い症状を初回で改善するのは難しい一定の費用がかかる | 重い症状を初回で改善するのは難しい 一定の費用がかかる |
3〜6カ月で効果が切れる重いワキガ症状では効果を感じにくい |
後遺症 | 腫れ、内出血(血腫)、皮膚の壊死、傷の瘢痕化、ひきつれ、しこり、粉瘤、肌の痺れ | 火傷、腫れ、内出血、肌の痺れ、しこり、むくみ (いずれも軽度) |
針の跡、赤み、かさぶた、色素沈着、突っ張り感、しこり(いずれも軽度) | 腫れ、赤み、かゆみ、内出血(いずれも軽度) |
費用相場 | 5万円程度(保険適用) | 20万円程度(保険適用不可) | 30万円程度(保険適用不可) | 韓国製2万円〜米国製3万円〜(保険適用不可) |
安心のワキガ治療ならビューホット

治療の確実性で「手術」の右に出るものはありません。ただ、術後には厳しい生活制限を守る必要があり、深刻な後遺症のリスクも負わねばならず、その代償は大きいものです。
一方の「切らない治療」は生活制限や後遺症のリスクとほぼ無縁です。熟練度の高い医師の施術で治療効果を担保できるのであれば、手術ほどの改善は望めないにしろ、メリットの大きい治療と言えます。
実際に、私のクリニックでは「ビューホット」を採用しています。その理由は、ワキガ症状の原因となる「アポクリン腺」だけをピンポイントで破壊できる点に、他の治療法にない優位性を感じているからです。
周辺組織へのダメージを最小限に抑えることができますので、重大な後遺症を残すリスクを最小限に留められます。翌日から軽い運動もできますので、日常生活や職場や学校での人間関係にも影響しません。
当院ではすべての患者様の治療をカウンセリングからアフターフォローまで院長である私が責任を持って対応することで治療の質の向上を図り、マスク麻酔の導入により「痛みを感じず」「寝ている間」に治療が終わるよう取り計らっています。
多くの方から感謝のお言葉をいただくたびに「ワキガ治療は安心して受けられることが一番」という方針の正しさを実感しています。
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