ニキビは潰すと早く治る?医師が教えるニキビの間違ったセルフケアと正しい対策


顔にポツポツとできてしまうニキビ。赤く膨れ上がったり、黄色っぽく膿が溜まったりするととても気になりますよね。毎朝、鏡をみるたびに「このニキビさえなければ…」とついつい自分で潰してしまう人も多いのではないでしょうか?

当院でも「ニキビは潰してもいいですか?」「潰した方が早くよくなりますか?」といったような質問が寄せられることが多くあります。

ニキビを潰すという行為については、一般的に「潰すのは絶対ダメ」という説と逆に「潰した方が早くよくなる」という説が存在していますが、いったいどちらが正しいかご存じですか?

この質問に医学的観点からお答えすると、「ニキビは潰して溜まった皮脂や膿を出し切ることで早くよくなる」ということになります。

ここでは、ニキビを潰してはいけない理由と、ニキビを潰してもよい条件を中心に解説していきます。
さらに、ニキビに悩んでいる人が誤解していることや、良かれと思ってやっている「間違ったセルフケア」についても説明していきますので、自分の毎日の習慣や行動を見直してみてくださいね。

執筆者 綾部 誠
福岡美容皮膚科あやべクリニック院長。日本美容外科学会認定美容外科専門医。東京医科大学医学部を卒業後、久留米大学病院の形成外科医師として勤務。1997年に福岡美容皮膚科あやべクリニック開院。美容外科医として30年以上にわたり勤務した経験を活かし、情報発信を行っている。

ニキビが悪化!?ニキビを自分で潰すリスク

ニキビが悪化!?ニキビを自分で潰すリスク

結論として、「ニキビは潰して溜まった皮脂や膿を出し切ることで早くよくなる」可能性があります。
ただし、医学的観点でいうとニキビを潰すときは必ず注意していただきたい点があります。
それは、「ニキビを自分で潰さない」※1ということです。

病院では、「ニキビを潰す」という行為は、ニキビ治療の有効な手段として利用しますが、それはあくまでも衛生的な環境と確かな技術があって初めて効果がでる方法で、自分で潰すと二次感染や炎症がひどくなる可能性が高いのです。

ニキビの芯や膿を自分で潰して出しきってしまうとファンデーションで隠しさえすれば目立たなくなりますし、気になる凹凸もなくなって、すっきりとした気持ちになりますよね。
でもそれは一時的な満足にすぎず、後にニキビが悪化するリスクがあるということを理解しておく必要があります。

それではニキビを自分で潰すリスクについて記載していきます。

  1. 感染リスク
    ニキビを潰すと、その部位が開き、皮膚にいる表在菌が侵入しやすくなります。特に、手や指の爪に存在する細菌が皮膚に侵入すると感染を引き起こして、ニキビが悪化する可能性があります。
  2. 炎症の拡大
    ニキビを潰すと、炎症が周囲の皮膚に広がる可能性があります。これにより、一時的には見た目が改善されるかもしれませんが、長期的にはニキビの悪化を招く可能性があります。
  3. 瘢痕や色素沈着
    ニキビを潰すと、皮膚の治癒過程で1型と3型コラーゲンが過剰に生成され、肌にニキビ跡が残る可能性があります。また、炎症が長期間続くことによる色素沈着で皮膚が黒ずむこともあります。

※1 「ニキビを自分で潰さない」

出典元:Should I Pop My Pimple?

病院でニキビを潰す「圧出処置(エクストラクション)」とは?

前項でも記載した通り、ニキビを潰すという行為自体が悪いということではなく、毛穴に溜まっている皮脂や雑菌などの炎症の原因を取り除くという利点もあります。

そのため病院では、ニキビを潰すという行為は治療の一貫として利用されています。「圧出処置(エクストラクション)」と呼ばれ、細い針やレーザーを使って皮膚に穴を開けて毛穴の中をキレイにする治療方法です。では、自分で潰してしまうのと何が違うのでしょうか?

その違いは「衛生」と「皮膚に開ける穴の大きさ」、そして「潰す処置が適切かどうかの判断」という点にあります。これらの内容をしっかり理解し、ニキビができて自分で潰す前に専門医の診察を受けるようにしましょう。

「衛生」

人の手は、どんなに清潔にしているつもりでも、物を触ったりすることで無意識のうちにたくさんの雑菌がついていることがほとんどです。そんな手でニキビを潰してしまうと、雑菌が入りニキビが悪化する可能性があります。
病院でニキビを潰すときは、針や圧出器などの器具を使いますが、日常的に十分に消毒がなされており、さらに雑菌が入らないよう細心の注意を払っています。ニキビを潰すのは、この環境下だからこそできる事と言えるでしょう。

「皮膚に開ける穴の大きさ」

自分でニキビを潰したとき、皮膚には肉眼で見えるほどの大きな穴が開いてしまったことはありませんか?
皮膚に穴が開くということは、転んだときにできる傷と同じなのです。
そのため、その傷から雑菌が入りニキビが悪化してしまったり、皮膚が損傷している状態によりそのまま凹凸が残って傷になったりしてしまいます。

病院では、非常に微細な針を使いますので、皮膚に大きな傷がつくことがなく安全に皮脂や雑菌を取り除くことが可能です。

「潰す処置が適切かどうかの判断」

今できてるニキビの治療として潰すことが適切かどうか。実は、この理由が最も重要と言えるかもしれません。病院でニキビを潰す場合は、そのニキビの進行度(どれくらい悪化しているのか)を医師が適切に判断してこそ有効な治療と言えます。
例えば、広範囲に広がってしまったニキビや膿がひどいニキビなどでは有効でない場合もあります。
病院では、ニキビを潰さない治療方法も多くありますので、ひとりひとりに合った治療方法を提案することが可能です。

ニキビになって潰すより、予防が重要!病院でできる毛穴洗浄&角質ピーリング

ニキビになってしまって病院で潰す治療は可能ですが、できればニキビになる前に、原因となる毛穴汚れや古い角質などはできる限りためないようにしておくのがベスト。

当院では、毎日の洗顔の指導など、スキンケアのカウンセリングも実施していますが、普段の洗顔だけで毛穴の奥の汚れや不要な角質をキレイに取り除くことはとても難しいものです。

当院でも導入している施術として「ハイドラフェイシャル」と呼ばれるものがあります。これは、水流の力を利用して、毛穴の奥の汚れや角質をしっかり取り除きながら、美容成分の導入もできる治療です。皮膚科と違って美容皮膚科では、このようなニキビ予防と美肌に繋がる施術も可能ですので、肌が気になったときにお気軽に美容皮膚科を受診してみるのもよいでしょう。

こちらは、毛穴の黒ずみが気になり来院された20代女性の症例です。
生理前にフェイスラインにニキビが生じるとのことでイソトレチノイン内服とハイドラフェイシャルを併用しながら治療を始めました。

2ヶ月目には毛穴の数が約60%ほど低下し、患者様も大満足の結果となりました。

毛穴の黒ずみ改善の症例写真

美容皮膚科なら、ニキビの治療はもちろん、このようなニキビになる前の毛穴の黒ずみも取り除くことができ、「ニキビができないようにする」予防もできます。

そのニキビケア、大丈夫?医師が教えるニキビの誤解と間違ったセルフケア

そのニキビケア、大丈夫?医師が教えるニキビの誤解と間違ったセルフケア

現代は、1人1台は必ずスマートフォンを持っているとも言われるほど情報に溢れた時代です。
ニキビができたとき、インターネットを使って調べると様々な情報が出てくるかと思いますが、その情報の一つ一つが正しいかどうかまで判断することはとても難しいのではないでしょうか?
ニキビに悩む人々がよく誤解していることや間違ったセルフケアについていくつか記載します。
ニキビ治療において正しい知識を持ってケアしていくことはとても重要ですので、参考にしてみてください。

  1. 過度な洗顔
    ニキビのときは肌を清潔に保たなければいけない、皮脂でベタベタしているとニキビができやすいからといって1日に何回も洗顔をしてはいませんか?確かにニキビは、雑菌と皮脂の過剰な分泌による毛穴の詰まりが原因となることが多いです。しかし、そのために洗顔を頻繁に行うと皮膚が乾燥して刺激され、過剰に皮脂が産生されることになります。

    ニキビを治療していく上で、一番スキンケアで気をつけることは「保湿」です。洗顔のし過ぎは、過乾燥を招いてニキビをかえって悪化させる可能性が高くなります。
    日々の洗顔は、お湯ではなく33度のぬるま湯で1日2回、日常生活しているときと一緒です。ニキビだからといって1日に5回も10回も洗顔するのはやめましょう。
  2. アルコールを含む製品の使用
    ニキビ=殺菌目的でアルコールを含むふきとり化粧水などを使っている方もお見かけします。アルコールは蒸発しやすいため、皮膚が過度に乾燥し刺激されます。そのため過度な洗顔と同じように皮脂の過剰分泌を引き起こす可能性があります。上記に記したようにニキビ治療で一番大切な原則は何と言っても保湿です。ニキビだからといって殺菌力の強いアルコール製品を使う必要はありません。
  3. 男性ホルモンが多いとニキビができやすい
    一部の方は、男性ホルモンが多いとニキビが出来やすいと考えていますが、実際には、「男性ホルモン」だけがどうということではなく、ホルモンバランス全体の乱れがニキビの一因とされています。特に思春期や月経前など、ホルモンバランスが変動しやすい時期、ストレスを抱えたときなどニキビが出来やすいとされています。
    体の生理的現象や日々のストレスをなくすといったことは難しいですが、できるだけバランスの良い食事を取り入れる、質の良い睡眠をとるなど、生活習慣を見直すことから始めてみましょう。
  4. メイクはしない方がいい
    メイク自体がニキビを引き起こすわけではなく、メイクが毛穴に詰まらないようにすることが重要です。毛穴を詰まらせない化粧品を使っていれば、化粧をすることは問題ないものと言えます。
    パッケージにノンコメドジェニックと記載されている化粧品だと、毛穴を詰まらせる可能性が低くなりますので、おすすめです。メイクアップブラシなどの道具を使う場合は、週に一度は必ずお手入れして雑菌が繁殖しないようにしましょう。

    また、メイク落としがきちんと出来ていないと毛穴を詰まらせ、ニキビの原因になることがありますので、メイクをした日は必ずクレンジングしてメイクを落とすことが重要です。

    ニキビができたからといって、メイクもせずに引きこもってしまうと精神的な負担も大きくなってしまいますので、上記のことに気をつけながら日常生活に必要なメイクはして、おしゃれもちゃんと楽しみましょう。
  5. 油分の多いスキンケアは避けるべき
    オイリー肌の人々は、油分の多いスキンケア製品を避けるべきと考えがちですが、必ずしもそうではありません。肌の乾燥を防ぐためには適度な油分も必要ですので、決して化粧水だけで済ませたりせずに、乳液やクリームを使用するのがおすすめです。

    ニキビで悩んでいる方用の基礎化粧品であるノンコメドジェニックな製品を選ぶとより安心してスキンケアすることができます。
  6. 不潔だとニキビが出来やすい
    不潔な状態がニキビを引き起こすわけではありませんが、細菌が肌に広がることはニキビを悪化させる原因になります。洗顔で自分の肌を清潔に保つことはもちろんですが、新しいニキビの吹き出物を防ぐためには、寝具などのシーツは少なくとも週に1回は交換するのがよいでしょう。

    シーツや枕カバーには1週間たつと古い角質や細菌がたくさん存在していることが多くあります。これらは毛穴を詰まらせ、吹き出物につながる可能性がありますので、清潔な枕カバーやタオルを使ったりすることはとても重要なのです。

ニキビに関する誤解や間違ったケアを避け、正しいケア方法を理解することが、ニキビ予防と治療には非常に重要※2です。

※2 正しいケア方法を理解することが、ニキビ予防と治療には非常に重要

出典元:ACNE MYTHS: ARE ANY PREVENTING YOU FROM SEEING CLEARER SKIN?

まとめ

いかがでしたか?
今回は、ニキビを潰してはいけない理由と、ニキビを潰してよい条件を中心に解説してきました。
ニキビは見た目に影響するので、つい触ったり潰したりしてみたくなるもの。

ニキビは肌の炎症なので、1、2日で治ることはほぼありません。
気になるからと言って、焦って自分でニキビを潰してしまうと、さらなる炎症を引き起こして長引いたり、ニキビ跡になってしまうリスクが非常に大きいのです。

ニキビに悩んだら、自分で潰す前に専門医に相談して適切な治療を受けることが、美しい肌を手に入れる最も近道といえるでしょう。

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