ニキビを放置するのはNG!?ニキビができたら病院を受診すべき理由


ニキビができても「触らずに放置したほうがいい」と思っている方も多いのではないでしょうか?
不衛生な手で触ったりすると雑菌が繁殖してニキビが悪化することもあるため、「むやみに触らない」というのは決して間違ってはいません。

しかし、「触らない」のと「放置する」のは、似ているようでまったく違う行為です。ニキビは軽い症状である「白ニキビ」のうちは、痛みもなく目立たないため放置してしまいがちですが、たとえ症状が軽くても放置することで悪化して炎症を起こし、ニキビ跡が残ってしまうこともあります。

ですから、いつまでもキレイな肌を保つためには、ニキビの原因や発生メカニズムを知って放置せず早めに治すことが肝心です。
ここからは、ニキビのメカニズムと放置するリスクについて解説していきます。

執筆者 綾部 誠
福岡美容皮膚科あやべクリニック院長。日本美容外科学会認定美容外科専門医。東京医科大学医学部を卒業後、久留米大学病院の形成外科医師として勤務。1997年に福岡美容皮膚科あやべクリニック開院。美容外科医として30年以上にわたり勤務した経験を活かし、情報発信を行っている。

ニキビの治療と予防のために。まずはニキビを知ろう!

ニキビは皮脂が多いとできる、アクネ菌が繁殖するとできる…など、ニキビの原因を大きく理解している人は多いでしょう。しかしニキビの原因は一つではなく、様々な原因が複雑に絡み合って起こっています。ニキビの治療と予防を適切に行うためには、ニキビができるステップを理解した上で今の自分のニキビがどういう状態であるか知ることが大切です。

ニキビができる主な原因1は大きく分けて「皮脂の過剰分泌」「角栓による毛穴の詰まり」「アクネ菌の増殖」の3つ。ここから詳細を説明します。

  1. 皮脂の過剰分泌
    皮脂は正常な分泌量であれば、肌の「バリア機能」としてはたらき、肌の美しさを守ってくれるもの。それが、思春期やストレスが多い時期、またはホルモンバランスが変化したとき(例えば生理が始まる7日前など)など体や心の変化によって皮脂腺が刺激されると、通常以上の皮脂が分泌されてしまうことがあります。この過剰に分泌してしまった皮脂が、ニキビの元となります。
  2. 角栓による毛穴詰まり
    過剰に分泌してしまった皮脂は、肌表面の古い角質、肌に残ったファンデーションなどの汚れと混ざりあって、「角栓」となって毛穴をふさぎます。角栓で毛穴がふさがれてしまうと、本来排出されるはずの皮脂が毛穴の中に閉じ込められ、毛穴が盛り上がった状態になります。
  3. アクネ菌の増殖
    毛穴の中に溜まった皮脂は、毛穴内のアクネ菌の栄養源となり、アクネ菌を増殖させてしまいます。アクネ菌は、ニキビの原因となる悪い菌というイメージがあるかもしれませんが、皮膚表面を弱酸性に保ったり有害な菌を防ぐ働きがあると言われ、通常であれば肌の健康のために必要な菌です。しかしこのアクネ菌は増殖する際に、肌の炎症を引き起こす物質を産生するため、増殖すればするほど肌で炎症を起こして毛穴周辺の肌が赤く腫れ、いわゆる「ニキビ」となって肌に現れます。

※1 ニキビができる主な原因

出典元:Mechanisms and causes of acne
出典元:Pathogenesis of acne

この炎症が肌の奥まで及ぶと、大きな赤ニキビ(パプル)や膿をともなうニキビのようにひどい状態になってしまうこともあります。

このように各段階で悪さをしている原因が違いますので、そのステップに応じた適切な治療をしていく必要があります。症状が軽いほど簡単な治療ですむことが多いので、ニキビは放置せずすぐに専門医に相談することがおすすめです。

ニキビは放置するとひどくなる?進行度によるニキビの違い

結論からいうと、ニキビは放置すると悪化していきます。今できているニキビの進行度・重症度がどの程度かということは、ニキビの見た目(状態)で知ることができます。

ニキビの種類は、白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビ、ニキビ跡に分けられます。見た目や痛みの程度なども違うため、原因が違うと思っている人もいるかもしれません。しかしこれらのニキビの発生源はすべて同じ「皮脂の過剰分泌」2。だから初期のニキビを放置することによって、ニキビが進行し、色が変化しているのです。

ここから、ニキビを放置したときの進行度別のニキビの種類を解説していきますので、自分のニキビがどういう状態かぜひチェックしてみてください。

※2 ニキビの発生源はすべて同じ「皮脂の過剰分泌」

出典元:What is Acne?

【第一段階:毛穴の詰まり】

白ニキビ

白ニキビは、毛穴の中に皮脂が詰まって盛り上がった状態で、ニキビの初期段階です。
毛穴の中の皮脂は外気に触れず酸化していない状態のため、白~乳白の色をしていることから、外から見ると白っぽく見えます。痛みやかゆみもなくパッと見分からないことも多いですが、触るとザラザラしていることが特徴です。

黒ニキビ

白ニキビを放置すると、皮脂がさらに過剰分泌が進み、毛穴が開きます。溜まっていた皮脂は空気にさらされることで、黒く変色し表面に露出します。これが黒ニキビです。
白ニキビと同じく、痛みもかゆみもありませんが、この状態になると黒いポツポツが肉眼でみえてしまうため、鏡を見たときに気になるようになります。

白ニキビ
黒ニキビ

【第二段階:炎症が起きて化膿】

赤ニキビ

黒ニキビを放置すると、溜まっている過剰な皮脂を栄養にして「アクネ菌」が増殖します。その増殖する段階で炎症を起こす物質を生成するため、毛穴周りの皮膚が炎症で赤く盛り上がって赤ニキビになります。この状態になると、痛みやかゆみがでてくるようになります。

黄ニキビ

赤ニキビを放置すると、毛穴に収まりきれなくなった皮脂が他の組織に漏れ出して、膿が溜まります。
この状態が「黄ニキビ」です。黄ニキビは表皮の奥にある真皮層まで達してしまうため、放置したり、自分でむりやり潰したりするとニキビ跡になる可能性が高いと言われています。

赤ニキビ
黄色ニキビ

【第三段階:肌に凹凸ができる】

ニキビ跡

赤ニキビや黄ニキビまで放置すると、炎症を治すために白血球が送り込まれます。白血球が炎症と戦った部分は組織が破壊されてしまい、コラーゲンが減少してへこんでしまったり、コラーゲンの塊ができたりします。これが肌の凹凸「ニキビ跡」です。

このように発生源は同じでも、ニキビの状態によって肌の中で起こっている現象が違う※3ため、当然治療方法も異なってきます。

ニキビが軽いからと言って放置してしまうと、やがて重症化し、ニキビ跡になってしまうため、放置せず病院で適切に処置しましょう。

※3 ニキビの状態によって肌の中で起こっている現象が違う

出典元:ACNE: SIGNS AND SYMPTOMS

ニキビの放置はNG!病院での治療をおすすめする理由とは。

ニキビを見つけたとき、自分であれこれ試して悪化したり、放置して治ったと思ったらまた同じ場所にできてしまったり…という経験はありませんか?

ニキビは、「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれる病院で治療すべき皮膚の病気です。自己判断による処理では悪化してしまう可能性がとても高いため、ニキビができたら病院を受診することをおすすめしています。

では、家では治せないニキビを、病院でどうやって治していくのか。病院では、患者様のニキビの状態を正確に診察し、前項までに記載したニキビの発生段階に着目した治療を行うことでニキビを治していきます。4

ここでは、病院のニキビを治すメカニズムをいくつかのステップに分けてご紹介します。

  1. 治療の開始
    ニキビの治療は、まず皮脂の生成を抑え、毛穴を詰まらせるのを防ぐことから始まります。
    これには、サリチル酸などの塗り薬、ビタミンA誘導体(レチノイド)などの内服薬を使って治療する他、古い角質や皮脂を取り除くハイドラフェイシャルと呼ばれるピーリング治療、ビタミンAなどの薬剤を直接肌に浸透させるイオン導入なども実施することがあります。
  2. 炎症の軽減
    赤くなってしまったニキビは、炎症を抑える必要があります。ただ鎮静化するのではなく、炎症の原因である細菌の増殖を抑制することでしっかり抑えていきます。発生原因にしっかりアプローチさせることで、ニキビの炎症が引き起こす赤みや腫れを軽減しながら、徐々に炎症の元を取り除いていきます。
    赤く化膿したニキビは過酸化ベンゾイル(抗菌薬による抗菌作用とは機序が異なったかたちで殺菌効果を発現するお薬です)や抗生剤などの飲み薬を使いながら、滅菌された専用の針を使って膿を取り除く場合もあります。これは、自分で潰すのとは全く異なり、二次感染やニキビ跡を残すことはほとんどありません。
  3. 皮膚の修復
    ニキビが治まると、体は自然に皮膚組織の修復を始めます。新しい皮膚細胞が生成され、古い細胞や炎症から生じた傷跡もだんだんと治ってきます。このプロセスは数週間から数ヶ月かかることがあります。
    当院では、よりキレイな肌を実感していただくために、「ポテンツァ」というマイクロニードルで肌表面に細かい穴を開けた後、肌に薬剤を浸透させる施術も実施しています。皮膚へダメージを与えずに皮膚を修復してくれる最新機器でニキビ跡でも治療をすることが可能です。

ニキビの治療には様々な薬剤が使われますが、主に以下のようなものがあります。

  1. 過酸化ベンゾイル: この外用薬は皮脂を減らし、細菌の増殖を抑制し、死んだ皮膚細胞の剥がれを助けることで作用します。これはニキビの三つの主な原因すべてを対象としています。
  2. サリチル酸: サリチル酸は、皮膚の表面層を薄くし、皮膚細胞の剥がれを助けることで毛穴を開放します。これは主に白ニキビや黒ニキビに効果的です。
  3. レチノイド: これらはビタミンAの派生物で、皮膚細胞の成長と分裂を調節し、皮脂腺の活動を抑制します。トレチノインやアダパレンが一般的に使用されます。
  4. 抗生物質: クリンダマイシンやエリスロマイシンのような抗生物質は、ニキビの原因となる細菌の増殖を抑制します。抗生剤の外用薬として用いられることもありますが、重度のニキビには内服薬として処方されることもあります。
  5. ホルモン療法: 女性に対しては、経口避妊薬やスピロノラクトンのような薬剤が、皮脂の過剰生成を抑えるために使用されることがあります。これらは特にホルモンの変動がニキビの原因となる場合に効果的です。

※4 病院では、患者様のニキビの状態を正確に診察し、前項までに記載したニキビの発生段階に着目した治療を行うことでニキビを治していきます。

出典元:Management of acne
出典元:ACNE: DIAGNOSIS AND TREATMENT
出典元:Acne – Diagnosis and treatment – Mayo Clinic

放置して悪化したニキビも諦めないでOK。重症化ニキビの治療例

ニキビは早めの治療が重要ですが、ひどくなってしまったからといって諦める必要は全くありません。当院でも、重症化する前の白ニキビや黒ニキビで診察に来られる方は決して多くなく、ほとんどの方は炎症を起こしたり膿になっていたり、また長年放置して繰り返しニキビができている方です。
悪化してしまったニキビが美容皮膚科を受診することでどの程度キレイになるのか、症例をご紹介しますね。

下の写真は、高校生のときからニキビに悩み、皮膚科を受診しても改善に至らなかった10代男性の患者様です。この方には、イソトレチノインの内服を開始し、洗顔や保湿、日焼け対策などの指導を行いながら5ヶ月間治療を実施した結果、ニキビの再発もなくキレイに治すことができました。

このようにニキビという病気は、放置したり、自分で間違ったケアをすると悪化する可能性が高いですが、きちんと治療をすればキレイに治すことができる病気なのです。

1人でなやむ前に専門の医師に相談するのが、ニキビを治す近道と言えるでしょう。

まとめ

ニキビを放置してしまうと、肌の赤みや痛みを伴うニキビへ悪化してしまうことはもちろん、一生続く傷跡を残してしまう可能性があります※5

また、人に顔を見られるのがイヤになって外出しなくなったり、自分の評価が低くなって気分が沈んでしまったりと、精神的にも大きな負担がかかってしまいますよね。

しかし、適切な治療を早くはじめれば、そういったメンタルの問題も一緒に解決することができます。
ですから、ニキビができたら放置せずにすぐに病院を受診しましょう。
豊富な知識と技術を持った専門医が、しっかり原因と適切な治療方法をプランニングしてくれます。

※5 ニキビを放置してしまうと、肌の赤みや痛みを伴うニキビへ悪化してしまうことはもちろん、一生続く傷跡を残してしまう可能性があります

出典元:What complications can come with acne?
出典元:ACNE CAN AFFECT MORE THAN YOUR SKIN

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