ワキガ手術が痛いって本当?苦手な人におすすめの治療法も


ワキガの手術は痛いですか?ーーインターネットの「よくある質問」に多く見られる問い合わせ。ワキガ手術を検討中の多くの方が手術の「痛み」を心配されていることがうかがえます。日本でもっとも標準的な治療法とされているとはいえ、やはり「手術」である以上、痛みに対する恐怖心を抱くのは当然のことです。

実際にほとんどの場合で「全くの無痛」ということはありません。一般的な手順では術中に局所麻酔を効かせ、術後には痛み止めの薬を処方して痛みに対処しますが、局所麻酔をかける際には注射針を用いますし、痛み止めの薬の効果が切れれば鈍痛が起きてしまうのです。

まずは「どのタイミング」で「どんな痛み」が起こるかを事前に知っておくことが重要。それがわかっているだけで心の準備ができますし、恐怖感も軽減できることでしょう。

この記事では、ワキガ手術の麻酔・術中・術後、それぞれのタイミングで体感しうる痛みについて、また、切らない治療について数多くのワキガ治療を手がけてきた専門医の視点から解説します。

執筆者 綾部 誠
福岡美容皮膚科あやべクリニック院長。日本美容外科学会認定美容外科専門医。東京医科大学医学部を卒業後、久留米大学病院の形成外科医師として勤務。1997年に福岡美容皮膚科あやべクリニック開院。美容外科医として30年以上にわたり勤務した経験を活かし、情報発信を行っている。

[目次]

  1. ワキガ手術の痛み【麻酔】
  2. ワキガ手術の痛み【術中】
  3. ワキガ手術の痛み【術後】
  4. 痛みを増加させないために術後に注意すべきこと
  5. そもそもワキガ手術とは?しない方がいいのか
  6. どうしても痛みが嫌な方におすすめな治療法
  7. 痛くない治療ならビューホット

ワキガ手術の痛み【麻酔】

局所麻酔をかけるには注射針を刺さなければなりませんので相応の痛みが伴いますが、実はこの麻酔の痛みは「針が刺さる痛み」だけではありません。人の体にもともと備わっていないものを注入するのですから、そのストレスが痛みとなって現れることも考えられるのです。

麻酔の痛みについて

片ワキにつき1分ほどで完了する局所麻酔ですが、痛みの強さを決める要素は主に3つあります。それが「針の太さ」と「注入スピード」と「薬液」です。

針の太さ

注射針が太いほど痛みが強くなります。傷の大きさに比例する、もっとも直接的な痛みです。

注入スピード

薬液をぐっと押し込むように注入されると、圧により痛みを強く感じ、ゆるやかに注入されると痛みを緩く感じます。

薬液

体に入った薬液そのものが起こす痛みです。注入される麻酔の薬液のpHや浸透圧が人体の値と異なるために感じるもの※1です。

もう少し詳しくお話しすると、たとえばシャンプーや石鹸が目に入っただけでも痛みを感じるでしょう。これは人間の体内のpH値7.4に対して、シャンプーや石鹸のアルカリ性の値が高いことが原因です。また、水泳をしているときに水が目や鼻に入ったときの痛み。これは人体と水との間に浸透圧の圧力差があるためです。

※1 注入される麻酔の薬液のpHや浸透圧が人体の値と異なるために感じるもの

出典元:The relationship of pH to osmotic pressure of local anesthetic solutions at body temperature – PubMed (nih.gov)
出典元:Comparing the pH Change of Local Anesthetic Solutions Using Two Chairside Buffering Techniques | Page 1 | May 2016 | Compendium (aegisdentalnetwork.com)

麻酔の痛みへの対策

局所麻酔では、針を刺す「チクッ」とした痛みから逃れる術はありません。

しかしながら「細い針を使う」「緩やかに注入する」「薬液のpH値、浸透圧を調整する」などの対策で痛みの軽減を図ることはできます。実際に取り入れている病院やクリニックも多くありますので、注目してみてください。

また、稀にではありますが、静脈麻酔※2やマスク麻酔を使って寝たままの状態で施術をおこなえる病院やクリニックもありますので、どうしても痛みが心配な場合には検索してみると良いでしょう。

※2 静脈麻酔

出典元:Propofol | Anesthesiology | American Society of Anesthesiologists (asahq.org)

ワキガ手術の痛み【術中】

ワキガ手術で一般的に用いられる局所麻酔は、体の一部分の感覚を麻痺させますが、意識ははっきりした状態です。施術中にはどのような痛みがあるのでしょうか。

手術中の痛みについて

施術中は局所麻酔が効いているので、痛みはほとんど感じない。
ーーといった大方の医療機関の説明どおり、麻酔がしっかり効いている状態であれば痛みを感じることはほぼありません。施術を始める前にも「麻酔がきちんと効いているか」の確認もされます。

とはいえ、麻酔の効き方に個人差があることは事実ですし、「痛み」そのものよりも、覚醒下で施術されているという「恐怖」のほうが勝ることもしばしばありますので、不安が強い場合には施術中は麻酔で眠らせてくれる医療機関を選んでおくと安心です。

局所麻酔をかけるにしても、予防接種のように上腕ではなく、無防備なワキに針を向けられるので、いやがおうにも恐怖感は高まります。

手術中の痛みへの対策

局所麻酔の持続時間は使用量にもよりますが、おおむね2〜3時間と言われています。また麻酔薬の投与は緻密な計算の上でおこなわれますので、術中に麻酔が切れるといった事態は相当のレアケースであると考えられます。

それでも痛みが出てしまった場合には、局所麻酔の追加をすることは可能です。ただし、医療機関によって術中の対応や麻酔追加の可否は異なりますのであらかじめ確認しておきましょう。

ワキガ手術の痛み【術後】

術後に起こる痛みと対策については以下の通りです。

術後の痛みについて

術後に麻酔が切れると鈍い痛みを感じることがあります。眠れない、我慢ができないような鋭い痛みではなく、鎮痛剤で十分にコントロールできるレベルです。小学生ですら手術後の疼痛に関して痛み止めを内服していたならば、施術当日もゆっくり寝ることが出来ます。経過が順調であれば3~7日ほどで解消します。

術後の痛みへの対策

医師からは術後の生活に関する注意事項とともに、痛み止めの薬が処方されます。指示通りの生活、服用を心がけて、それでも痛みが起きるようであれば何かしらのトラブルが疑われますので、速やかに手術を受けた医療機関を受診しましょう。

痛みを増加させないために術後に注意すべきこと

手術が終わったワキの下は、言ってみれば「大けが」をしている状態。ワキガ手術は術後の安静がとても大切です。不用意な行動で施術部にトラブルを起こさぬよう、しっかりとケアをするべき時期と心得ましょう。

術後に痛みが増す原因とは?

術後のワキで強い痛みを感じるケースでもっとも多い原因は「内出血」(血種)です。

手術後のワキにはタイオーバー※3と呼ばれる、テニスボール大に丸めたガーゼを用いた圧迫固定が施されますが、ワキを開くような動きをしてしまうと傷口が離開してしまったり、皮膚が剥離してしまい、内出血(血腫)を起こしてしまう恐れがあります。

医師からの注意事項を守り、ワキの安静を保つことが傷口のトラブルを起こさないためには何より大切です。

※3 タイオーバー

出典元:simple and rapid method of repeated tie over dressing

術後の過ごし方

術後1週間は剥離した皮膚を生着させるために、高い安静度を保つ必要があります。タイオーバーを施した状態で生活し、ワキを開く動きは厳禁です。被り物の洋服であるTシャツやセーターの着用はもちろん厳禁ですし、ワキを濡らすような入浴もできません。術後7〜14日で抜糸をしますが、ワキを広げるような動作や部活動などの運動は引き続き控える必要があります。

特に「抜糸後の2週間」は気を引き締めて欲しい時期です。抜糸をしたのだからもう大丈夫と、気が緩んでしまったために起こるトラブルが非常に多いからです。最悪の場合、切開部の離開や内出血が原因で、ひどい傷を一生涯残してしまうことすらあります。

そもそもワキガ手術とは?しない方がいいのか

ワキガ手術のもっとも標準的な手法とされるのが「剪除法」です。

剪除法ではワキのシワに沿って切開した皮膚を反転させ、医師の目視下でワキガ臭の原因となる汗腺「アポクリン腺」を摘み取ります。そのため、数あるワキガ治療の中で直接的で確実性の高い治療とされています。

ただし高い治療効果の代償として、術後には厳しい行動制限が課せられます。強い覚悟を持って臨むことが求められる過酷な治療です。

ワキガ手術が保険適用になる条件

剪除法は保険が適用できる唯一のワキガの治療法です。

ただし、保険を適用させるためには医師の診断が必要となります。その診断の目安は「悪臭が著しく他人の就業に支障を生じる事実が明確で、客観的に見て医療に委ねる必要がある場合」と規定されます。症状が軽微と判断されれば保険は適用できません。

ワキガ手術にかかる費用は?

剪除法の治療費は保険適用の3割負担で、おおよそ5万円程度です。しかし、同じ剪除法であっても医療機関ごとに細かな手順や設備が異なるため、保険適用外となる場合もありますのでご注意ください。

ワキガ手術のメリット・デメリット

剪除法の主なメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット①「治療の確実性が高い」

原因となる汗腺を医師が目で確認しながらひとつひとつ摘み取りますので確実性が高く、重いワキガ症状にも一定の改善が見込めます。原因となる汗腺そのものを減らしますので、再発することは基本的に考えられません。

とはいえ、剪除法の施術範囲には限界がありますし、医師も人間ですのでアポクリン腺を100%除去することはできません。治療の目的がワキガの臭いをゼロにすることではなく、「軽減させる」ことにあることは覚えておきましょう。

メリット②「保険適用で費用を抑えられる」

剪除法はワキガ治療のなかで唯一保険が適用される治療法です。他の自由診療の治療法が全額負担であるのに対して、剪除法ならば3割負担で治療を受けることができますので、費用を低く抑えられます。

デメリット①「必ず傷跡が残ってしまう」

ワキをメスで切開するため、施術部に圧迫固定を施してどれだけ安静を保ったとしても多かれ少なかれ傷跡が残ってしまいます。経過が順調であれば、3カ月をすぎる頃から徐々に目立たなくはなります。しかしながら、完全に消えるということはありません。

万が一、血腫や切開部の離開を起こしてしまった場合には、皮膚の壊死や、ケロイドのような傷跡が残ることもありますので、そのリスクは決して小さくはありません。

デメリット②「術後の生活制限がきびしい」

術後のワキには「タイオーバー」と呼ばれるガーゼを用いた圧迫固定を施します。皮膚の速やかな生着は術後にどれだけ安静を保てるかにかかっているといっても過言ではないため、徹底的な安静が求められます。その間は腕を上げる動きは制限され、入浴もできません。

圧迫固定の方法によっては、テープかぶれを起こしてしまったり、汗をかく夏場には蒸れてかゆみが出てしまうこともあります。この術後の生活制限の厳しさに「やらなければよかった」と後悔する人はとても多いと実感しています。

どうしても痛みが嫌な方におすすめな治療法

痛みをなるべく感じずに治療したいのであれば「切らない治療」に目を向けてみるのもひとつの手です。切らない治療であれば体への大きな負担を避けることができ、痛みも小さく済みます。

ワキガの治療機器は日々進化しており、現在ではよほど重い症状でない限りは気にならないレベルにまで臭いを軽減できるようになっています。それぞれ長所と短所がありますが、検討してみる価値は十分にあるでしょう。

次では「切らない治療」の代表例を紹介します。

ビューホット

ビューホット

「ビューホット」は極細の針先から高周波を発してアポクリン腺を熱で破壊する「ワキガのための治療機器」です。

メリット

照射レベルや針の深さを変えることでアポクリン腺だけをピンポイントで施術できる。周りの組織へのダメージが少ない。治療の跡がほとんど残らない。術後の生活制限がほとんどなく、永続的に効果が見込める。

デメリット

重いワキガ症状を1回の施術で劇的に改善できない場合もある。医師の経験値、熟練度によって治療効果に差が出てしまう。

治療中の痛み

局所麻酔をかけるときの痛みはあるが、術後の痛みはほとんどない。痛みが出たとしても鎮痛剤で対処できる程度。眠りの妨げになるようなことはない。

ミラドライ

多汗症治療の認可を受けている「ミラドライ」という機器を、ワキガ治療に応用した治療です。

電子レンジの原理であるマイクロ波を利用して、原因となる汗腺組織を表皮からじわじわと破壊します。

メリット

多汗症への改善効果も望める。術後の生活制限がほとんどなく、ダウンタイムが短い。臭いの軽減効果が永続的。

デメリット

マイクロ波は水分を標的とするため、アポクリン腺を狙った施術をすることができない。強いワキガ症状を1回の施術で臭いをゼロにするのが難しい。

治療中の痛み

局所麻酔を打つときの痛みのほか、術後に火傷のように腫れて痛む場合がある。痛みのピークは施術日の夜〜翌日で、おおよそ1週間程度続く。

ボトックス注射

ワキの下にボトックス(Aボツリヌス菌毒素製剤)を打つ方法です。ボトックスには汗の分泌を促進させる信号の伝達を阻むという性質がありますので、汗の分泌量を減らしワキガの臭いを軽減する効果が期待できます。

メリット

多汗症の症状が軽減する。傷あとが残らない。ダウンタイムがほぼない。比較的安価で手軽に受けられる。

デメリット

効果が4〜6カ月と短い。制汗が主な効用のため、ワキガ症状の根本治療とはならない。中等度から重度のワキガ症状ではあまり効果を感じられないことがある。

治療中の痛み

ワキの複数箇所に注射を打つため、相応の痛みがある。とはいえ施術部を冷やして麻痺させたり、麻酔薬を塗布したりするので、痛みはかなり軽減される。術後の痛みはほとんどない。

痛くない治療ならビューホット

ワキガ手術は確実性が高い反面、強い痛みを感じるリスクが大きい治療です。
痛みをできるだけ排除して治療したい方は、特に慎重に検討するべきでしょう。

また、痛みが小さく無理のない治療を求めるなら、切らない治療も有効な選択肢です。治療の痛みや傷跡が悪化するようなリスクは大きく低減できますし、大掛かりな圧迫固定を施す必要がないので周囲に気づかれにくく、日常生活に支障をきたしません。特別に重いワキガ症状でないかぎりは、かなりの効果を発揮するはずです。

実際に、私のクリニックでは「ビューホット」を採用しています。カウンセリングから施術、アフターフォローに至るまで全ての工程を院長である私が一貫して担当することで治療の質を担保し、当日は「マスク麻酔」により、眠ったままの状態で痛みも恐怖も感じることなく施術を終えることができます。

この「ビューホット」と「マスク麻酔」の組み合わせにより、数多くの患者さまから「安心して治療を受けることができた」「子どもでも治療を受けられる」とお喜びの声をいただいています。

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