ポテンツァ治療時に使用するマックーム（PLLA）とは？驚くべき特徴を知ろう

ポテンツァの治療について話をする際、マックームという言葉が出てきます。しかし一般的な言葉ではないため、今回はそのマックームについてご説明をいたします。

執筆者 綾部 誠
福岡美容皮膚科あやべクリニック院長。日本美容外科学会認定美容外科専門医。東京医科大学医学部を卒業後、久留米大学病院の形成外科医師として勤務。1997年に福岡美容皮膚科あやべクリニック開院。美容外科医として30年以上にわたり勤務した経験を活かし、情報発信を行っている。

マック―ムとは、Poly-L-Lactic Acid（PLLA:ポリ-L-乳酸）の商品名で、アメリカのFDA（日本の厚生省に相当する機関）に認可されたコラーゲン生体刺激物質^※1です。

体内に注入されたマック―ムは真皮深部や皮下組織で徐々に分解される過程でⅠ型コラーゲンを生成しながら、水と二酸化炭素に分解されるので、安全に使えると考えられています^※2。この特性により、顔のシワやニキビ跡の凸凹を徐々に改善し、ボリュームを増加させる効果^※3があります。

PLLA素材は既に顔を引き上げる糸、いわゆる”スレッド”として使用されているものと全く同様の成分で、パウダー状のものがアンプルに封入されており、注射用蒸留水に溶かして使用します。

※1 アメリカのFDA（日本の厚生省に相当する機関）に認可されたコラーゲン生体刺激物質

出典：FDA-Approved Dermal Fillers

※2 安全性

出典：Safety in immediate reconstitution of poly-l-lactic acid for facial biostimulation treatment

※3 顔のシワやニキビ跡の凸凹を徐々に改善し、ボリュームを増加させる効果

出典：Poly-L-Lactic Acid

皮膚のコラーゲンを新たに新生する方法

コラーゲンを増やす方法には、ダーマペン4、温熱療法、マック―ムの使用などさまざまな手段が考えられます。ダーマペン4のようなマイクロニードル治療や、皮膚の真皮層を42度以上に加熱する温熱療法でコラーゲンの新生を促すことができます。しかし、マック―ムの場合、コラーゲンの新生メカニズムは異なります。

ダーマペン4を始めとするマイクロニードル治療^※4は、細い針を用いて皮膚に微細な傷を作り、その傷が治癒する過程でコラーゲンを新たに生成させる方法です。
この治療は迅速な回復と限定的な副作用の特性を持っており、皮膚の創傷治癒を効果的に促進します。ある意味、微細な針による物理的な刺激による安全で低侵襲な皮膚の審美治療といえます。

※４ マイクロニードル治療

出典：Microneedling: A Review and Practical Guide

また、真皮層をある一定時間42度以上に温めることでコラーゲンの新生を促進する温熱治療では、ヒートショックプロテイン^※547、70、90などを活用しています。特にヒートショックプロテイン47は、コラーゲンとエラスチンの生成^※6※7を促します。
ヒートショックプロテインに関してもマイクロニードル治療と同様に重篤な副作用は生じません。こちらも温度という物理的な方法でコラーゲンを新生する方法です。

※5 ヒートショックプロテイン

出典：Heat shock proteins in the skin

※6 ※7 コラーゲンとエラスチンの生成

出典：Quality Control of Procollagen in Cells
出典：Embryonic lethality of molecular chaperone hsp47 knockout mice is associated with defects in collagen biosynthesis

それに対して、マック―ム（PLLA）はポリ-L-乳酸という化学物質を利用し、コラーゲンを新生させる方法です。これは物理的なマイクロニードルによる創傷治癒機転カスケードや温度を利用する方法とは大きく異なります。

マック―ムの副作用

この治療の一般的な副作用として、紅斑、腫れと言った急性注射部位反応が生じることがありますが、概ね24時間以内に消失します。患者さんが血液をサラサラにするためのアスピリンやワーファリンなど抗凝固剤を薬として服用している場合は副作用のリスクが増加して、まれに最大１週間程度かかる場合もあります。

マック―ムを皮膚に直接注射して使用する場合、結節を伴う肉芽腫が生じる可能性があります。この原因は、施術者がマック―ムの効果を最大化しようと、指定濃度よりも濃く希釈することに起因すると考えられます。
研究によれば、7ml以上の希釈量を使用するとそのリスクは減少します。結節の発生リスクを低減するため、注射後マッサージを1日5回、各5分間実施し、これを5日間継続することが推奨されています。

当院でのマック―ム自験例

左）2022年3月18日 第1回ポテンツァ施術前 マック―ム使用せず
右）2023年5月19日 第7回ポテンツァ施術前 マック―ム使用

左）2022年3月18日 第1回ポテンツァ施術前 マック―ム使用せず
毛穴個数：1,245個 スコア：35,565

右）2023年5月19日 第7回ポテンツァ施術前 マック―ム使用
毛穴個数：754個 スコア：23,014

当院でのマックームでの治療を行った実例の写真を掲載いたしました。
画像解析システムを搭載した肌分析マシン「VISIA」で撮影した結果です。

治療3回目まではポテンツァのみの施術でマック―ムは使用しておらず、その時点での毛穴個数は1,245個あり、毛穴のスコアは35,989でした。

4回目の治療以降は、マック―ムを使用開始し、VISIAでの計測結果での毛穴スコアは有意に低下し始め、7回目には、毛穴個数754個、毛穴スコアは23,014まで低下しています。

最終的に毛穴は40％低下し、VISIAでの毛穴スコアは35％低下したという結果となりました。

まとめ

マック―ムは、コラーゲンを新たに作る化学物質であり、ポテンツァの効果をさらに増強する。

当医院では、ニキビ・ニキビ跡の症状やご要望にあわせて柔軟に治療プランをご提案出来ます。無料カウンセリングも実施しておりますので、まずはニキビについて1人で悩まず、お気軽にご相談ください。

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