中学生でもワキガ治療は受けられる!思春期に最適な方法
- 公開日: 2023/06/28
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ワキガ症状の多くは10歳ごろから現れ始めます。これは思春期の身体に起こる変化「第二次性徴」と密接な関係があるためです。
中学生になると、他者との違いについてそれまで以上に気にするようになり、自身のワキガに関して悩む子どもが増えます。多感な時期でもありますし、できるかぎり速やかに、周囲に悟られることなく治療したいですよね。
ひと昔前までは実質的に「手術」一択だった治療法ですが、現代では「切らない治療」をはじめ様々な選択肢が用意されています。治療法によっては、学校生活に支障をきたすことなく治療することもできるようになりました。
この記事では中学生でも受けられるワキガ治療の選択肢と、ご家庭でできる対策について、数多くのワキガ治療を手がけてきた専門医の視点から解説します。
執筆者 綾部 誠
福岡美容皮膚科あやべクリニック院長。日本美容外科学会認定美容外科専門医。東京医科大学医学部を卒業後、久留米大学病院の形成外科医師として勤務。1997年に福岡美容皮膚科あやべクリニック開院。美容外科医として30年以上にわたり勤務した経験を活かし、情報発信を行っている。
[目次]
- 中学生でもワキガ治療は受けられる?
- 中学生のワキガは一時的かも?治療前に知っておくべきこと
- 中学生でも受けられるワキガ治療
- 中学生にワキガ治療をどうやって伝える?
- 中学生でもできるワキガ対策
- 中学生のワキガ治療ならビューホット
目次
中学生でもワキガ治療は受けられる?
「中学生だから受けられない」という治療は基本的にありません。ただし、治療法によっては入院や通院、再発の疑い、傷跡を残すリスク、術後の生活制限などが生じる可能性があります。臭いの強弱などその人の状態と、それぞれの治療法のメリット、デメリットを踏まえて、最適な治療法を選択する必要があります。
また、「ワキガだと思っていたけれど、ワキガではなかった」というケースも少なくありません。自分の臭いに敏感になりすぎてしまい、実際には臭わないのに臭っていると思い込んでしまう「自臭症※1」と呼ばれる状態です。
自分の状態を的確に知るためにも、まずは病院で「適切な診断」と「治療法についての説明」を受けることが重要だと心得ましょう。
※1 自臭症
出典元:Sniffing out olfactory reference syndrome
中学生のワキガは一時的かも?治療前に知っておくべきこと
中学生のワキガ治療に心配事は尽きません。
そのなかでもよく聞かれるものが、以下のような疑問です。
- 思春期のワキガは一時的?
- 中学生は治療の恐怖に耐えられる?
- 学校生活への支障は?
- 治療後の再発は起こる?
それらの疑問について、解説します。
「一時的なものかもしれない」という誤解
ワキガの原因は遺伝です。臭いのもととなる汗を分泌する「アポクリン腺」が多いという体質的な特徴は、時期によって変わることがありません。そのため「一時的にワキガになる」「放っておいたら治る」といったことは原理的に考えられないのです。
ただし、症状の「強弱」に着目するなら話は別です。思春期に盛んに分泌される性ホルモンはアポクリン腺の分泌を活発化させる※2ことがわかっているため、「一時的に臭いが強まった」と感じることはあるでしょう。
※2 性ホルモンはアポクリン腺の分泌を活発化させる
出典元:Anatomy, Skin Sweat Glands – PubMed (nih.gov)
治療への恐怖心が大きい
「皮膚をメスで切開する」「電磁波や高周波で汗腺を熱破壊する」と聞けば、恐怖を感じますよね。ワキガ治療の現場ではしばしば「局所麻酔」が用いられますが、無防備なワキに注射針を向けられる怖さは予防接種の比ではありません。
そういった精神的な負担を軽減するために、細い針の注射器や二段階麻酔、または注射せずに眠ったまま治療を受けられるマスク麻酔や静脈麻酔を採用している病院もあります。「治療の恐怖に対する対策」は病院を決めるうえで、注目するべきポイントです。
治療法によっては日常生活に制限がある
治療後の日常生活への制限は「侵襲性」が高い治療ほど厳しいものになります。
その最たるものが、ワキを切開する「手術」です。術後のワキには「タイオーバー」と呼ばれる、テニスボール大のガーゼを用いた圧迫固定が1週間ほど施されます。その間は入浴ができませんし、術後2〜3週間は運動を控え、腕を上げずに過ごさなければなりません。
一方、ミラドライやビューホットをはじめとした「切らない治療」では施術当日にシャワー入浴ができ、翌日からは運動もできるなど、日常生活に目立った制限はありません。
再発は起こるのか?
成長とともにアポクリン腺が発達※3して、また臭いが出てしまったーーこのような可能性は低いながらも完全に否定することはできません。
なぜなら、どのような治療法もワキのアポクリン腺を全て完璧に取り去ることは不可能だからです。現代のワキガの治療があくまで「症状の改善」を目的としていることは心に留めておきましょう。
一方で、取り組んだ治療が無駄になることはありません。再発を恐れて治療をためらったがために学校生活や友人関係に問題が生じて、取り返しのつかない事態に至ることも。私自身は「速やかな一手を打つことに大きな意味がある」と考えています。
※3 成長とともにアポクリン腺が発達
出典元:Morphology and development of an apoeccrine sweat gland in human axillae – PubMed (nih.gov)
中学生でも受けられるワキガ治療

現在受けることができる主なワキガ治療は以下の通りです。
ボトックス注射
ワキに注射でボトックス(Aボツリヌス菌毒素製剤)を注入する方法です。汗を分泌させる信号「アセチルコリン」を阻むことで汗腺の活動を穏やかにしてワキガ症状の軽減に繋げます。
10分ほどの施術で日帰りで受けることができますので、学校や部活を休む必要がありません。また、ダウンタイムがほぼなく、傷跡を残さないこともメリットです。ただし、3カ月から6カ月で効果が低下して来ますので、継続して制汗作用を得るためには定期的に通院する必要があります。ワキガ症状の原因に直接アプローチするわけではないので、根治は見込めません。
費用の相場は使用する薬剤が米国製か韓国製かで大きく異なり、2万円から8万円程度。保険は基本的に適用されません。(多汗症の診断を受けている場合には適用の可能性があります)
症状が軽く、手軽に治療を受けたい方に向いた治療です。
外用薬
汗腺の出口にふたをする作用のある薬剤で、ワキガの原因となる汗を減らす方法です。
塗るだけで効果を得られる手軽さがメリットですが、あくまで制汗を目的としているため、ワキガ症状への効果は決して高いものではありません。また、日常的に使い続けることになりますので、薬剤によっては長期的な塗布による体への負担も懸念されています。
制汗作用がある外用薬として、主に「エクロックゲル」や「パースピレックス」、「塩化アルミニウム溶液」が処方されます。その費用は1本あたり2~4千円程度。多汗症の診断を受けている場合には保険適用となることもあります。軽度のワキガ症状に対して有効な治療です。
剪除法
ワキガ手術のもっともスタンダードな手法とされるのが「剪除法」です。
ワキのシワに沿って5cmほど切開し、皮膚を反転させて直接「アポクリン腺」を摘み取ります。医師の目視下でひとつひとつ除去するため、数あるワキガ治療の中でもっとも確実性の高い治療とされています。
デメリットは、メスで切開するので必ず傷跡が残ってしまうことと、術後1週間の圧迫固定と1カ月以上の生活制限が求められることです。さらに、傷口のトラブルに見舞われた場合には目立つ傷跡を一生残してしまうリスクがありますので、中学生が受けるには少々過酷だと言わざるを得ません。
重度のワキガ症状を抱えた覚悟をもって施術を受けられる方に向いた治療法。費用の相場は保険適用で5万円程度です。
マイクロ波照射による治療(ミラドライ)
多汗症に対する治療機器として厚生労働省から認可された「ミラドライ」を、ワキガ治療に応用した方法です。ワキに局所麻酔を施したのち、電子レンジの原理であるマイクロ波をワキの有毛部にまんべんなく照射して、通常の汗のもとであるエクリン汗腺とアポクリン腺を破壊します。
生活の制限はほぼなく、切開が不要なので当日からシャワーを浴びられます。通院も2〜3回程度ですので、通学の合間で治療を受けられます。多汗症の症状改善のほか、ワキガ臭の軽減が期待できます。アポクリン腺を破壊するため効果は永続的です。
ただ、ミラドライはもともと多汗症に対する治療機器であるため、アポクリン腺だけを狙って照射することができません。多汗症を併発している中等度までの症状に適した治療法です。費用の相場は30万円程度で、保険適用は受けられません。
ビューホット

ワキガ専用の治療機器「ビューホット」は局所麻酔を施したワキの有毛部に、6×6列のはんこ型の針を刺入して、針先から発する高周波の熱でアポクリン腺を破壊する方法です。
切開が不要なうえ、アポクリン腺だけをピンポイントで施術するので周りの組織へのダメージが少なく、生活制限はほぼありません。施術の当日からシャワーを浴びられ、翌日からは部活動での運動も再開できますので通学しながら治療ができます。効果は半永久的です。
ただし体型やワキの感触から汗腺組織をイメージしながら施術を進めるため、熟練度によって治療結果に差が出ることがあります。中等度までの症状に適した治療法で、費用の相場は30万円程度。保険は適用されません。
中学生にワキガ治療をどうやって伝える?
ワキガを発症した本人が自分の臭いに気づかないのには、人が臭いに対して「敏感であり、鈍感である」という相矛盾する感覚を持っていることが関係しています。
たとえば友人の家をはじめて訪ねたとき、玄関で「自分の家とは違う臭いがする」と感じたことはありませんか。その感覚は30分もしないうちに意識から消えてしまったはずです。多くの人は同じ臭いを嗅ぎ続けるとその臭いに慣れてしまい、意識しにくくなってしまうのです。
ワキガ体質の人の身にも同じことが起きているため、自分の臭いになかなか気づけないのです。ワキガという概念さえ持たない子どもであればなおのこと。本人が気づくことができないのは、むしろ自然なことだと言っていいでしょう。
そうなれば「子どもがワキガを発症した」ことに対処してあげられるのは親しかいません。周りから傷つくような形で臭いを指摘されてしまう前に、ワキガが病気ではなく両親から受け継いだ体質であること。日本人の10人に1人が持っている特別に珍しい症状ではない※4こと。学校生活を送りながら無理なく治す方法があることを丁寧に伝えてあげてください。
※4 日本人の10人に1人が持っている特別に珍しい症状ではない
出典元:THE EFFECT OF ETHNICITY ON HUMAN AXILLARY ODORANT PRODUCTION – PubMed (nih.gov)
出典元:日本形成外科学会の腋臭症診療ガイドライン(42頁)
中学生でもできるワキガ対策
ワキガ症状は、生活習慣の見直しやセルフケアで軽減できることがわかっています。
大切なポイントは2つ。「アポクリン腺の分泌を緩やかに保つこと」と「ワキを清潔に保ち、雑菌の繁殖を抑えること」です。劇的な改善とはいきませんが、今すぐ始められる身近な対策ばかりですので、まずはできることから始めてみましょう。
ワキを清潔に保つ
アポクリン腺からの分泌物をこまめに取り除くことで臭いを抑えます。もっとも直接的な対策ですが、取り組んだ分だけ効果も期待できる方法です。具体的な方法は次の通りです。
- 汗をかいたら、その都度汗拭きシートなどで拭き取る
- インナーウエアの替えを用意しておき、汗で湿ってしまったら着替える
- 寝汗をかいた朝や、運動をした後にはシャワーを浴びる
- 入浴時には湯船に浸かって体を温め、毛穴に詰まった分泌物や老廃物を落とす
- ワキを剃毛・脱毛して、拭き取りやすく通気性の良い状態を保つ
デオドラント製品を使う
軽度のワキガ症状に対しては制汗剤やデオドラントも手軽で有効です。ほとんどの製品のパッケージには「制汗」や「殺菌」、「消臭」などの効果が大きく書かれていますので、殺菌作用があるものを選ぶといいでしょう。
成分としては制汗効果を優先するなら「クロルヒドロキシアルミニウム」、肌が敏感な方には「焼ミョウバン」が推奨されています。外出前にはクリームやスプレー、外出先では小型のロールオンやスティックなど、シチュエーションに応じて使いやすい製品を選びましょう。
生活習慣を見直す

体質を原因とするワキガ症状には、生活習慣も影響することがわかっています。次に生活習慣の基本となる「食事・睡眠・運動」で気をつけるべきポイントをまとめました。
食事
アポクリン腺が分泌する汗には、臭いのもとになる脂質やタンパク質が含まれています。そのため、焼肉やもつ鍋などの肉料理や、揚げ物・スナック菓子などの脂っこい食べ物の摂取を控えることで、分泌量を少なくすることが期待できます。
また、アポクリン腺からの分泌量に直接の関わりはありませんが、ニンニク・ニラ・ネギなどの香味野菜には「硫化アリル」と呼ばれる成分が含まれており、体臭そのものを強める作用があるので過度な摂取は控えましょう。
睡眠
アポクリン腺はストレスを感じると活動を活発化させます。睡眠不足や不規則な生活でストレスがかかると、臭いを強めてしまう原因になります。毎日規則正しくしっかりと睡眠をとって暮らすことは、一見地味に思われがちですが、ワキガ症状を抑えるうえで大切なことです。
運動
発汗は、毛穴に詰まった分泌物や古い角質、酸化した油脂成分の排出を促します。臭いのもとを減らし、肌を清潔に保つことにつながるのでワキガ症状に有効とされています。また、適度な運動にはストレス発散の効果もありますので積極的に取り入れたい習慣です。
中学生のワキガ治療ならビューホット
子どもがワキガを発症したときにもっとも避けたい事態は、対人関係の悪化によって生涯続くようなトラウマを抱えてしまうこと。
それを回避するためには「学校生活に支障をきたさない」「目立った傷を残さない」「周りが気づかないレベルまで臭いを落とす」この3つがそろった治療法が望ましいです。それらの条件を満たす治療法として「切らない治療」は有力な選択肢になるでしょう。
実際にあやべクリニックでは「ビューホット」を採用しています。ワキガ治療の専門機器であるビューホットなら、アポクリン腺への確実なアプローチが実現しますので、最小限のリスクで大きな治療効果を生むことができます。しかも、生活制限もほぼなく、周りに気づかれることもほとんどありません。
施術にあたっては「マスク麻酔」によって、「寝ている間に全てが終わる、痛みも恐怖も感じないワキガ治療」を実現しており、子どもでも安心して治療ができたと多くの患者さまから感謝の言葉をいただいています。
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