切らないワキガ治療って効果ある？デメリットや料金を知れば後悔ない選択ができる

切らない治療でワキガを治したい。でも、どう選んだらいいのかわからないーーそんな悩みを抱えていませんか。

たとえばミラドライとビューホットを比較検討するとしても、専門的な医療機器の比較となるため容易なことではありません。さらに、治療の良し悪しを決めるのは、治療機器の性能や特徴だけではなく、施術者の熟練度や、カウンセリング、アフターフォローなどのサポート体制も重要な要素。治療法とクリニックの選定はいよいよ複雑化しているのが実情です。

この記事では「切らないワキガ治療」の検討に役立てていただくために、各治療法の特徴やメリット・デメリット、費用について、比較を交えながら解説していきます。

執筆者 綾部 誠
福岡美容皮膚科あやべクリニック院長。日本美容外科学会認定美容外科専門医。東京医科大学医学部を卒業後、久留米大学病院の形成外科医師として勤務。1997年に福岡美容皮膚科あやべクリニック開院。美容外科医として30年以上にわたり勤務した経験を活かし、情報発信を行っている。

[目次]

1. ワキガ治療は切らなくても効果を感じられる？
2. 切らないワキガ治療のデメリットは効果の持続性と治療の費用
3. 切らないワキガ治療の大きなメリットは跡が残らないこと
4. 切らないワキガ治療は4種類ある
5. 切らないワキガ治療は安い？料金比較や保険について
6. あやべクリニックでできる切らないワキガ治療の流れ
7. 切らないワキガ治療ならビューホット

ワキガ治療は切らなくても効果を感じられる？

治療効果の大きさと確実性では未だに「手術」に勝る方法はありません。

一方で、切らない治療には「手術と比べて身体的な負担が極めて小さい」という大きなメリットがあります。治療効果においても経験豊富な施術者であれば、よほど重い症状でない限りは気にならないレベルまで臭いを軽減できることがわかっています。

たとえば私のクリニックでは、切らない治療として「ビューホット」を採用しており、通算2,500例を超えるワキガを治療してきましたが、個人差はあれど、ほとんどの方は1回の治療で日常生活に支障がないレベルにまで改善しています。

どの治療法を選ぶにしろ一長一短があるのがワキガの治療法です。そういった視点で見れば、切らない治療は手術と肩を並べる有力な選択肢と言っていいでしょう。

切らないワキガ治療のデメリットは効果の持続性と治療の費用

切らない治療に共通するデメリットは、基本的に保険が適用されない自由診療であるために費用が高めになることです。

手術の費用が保険適用で5万円程度なのに対して、ビューホットやミラドライなどの医療機器を使用した治療では30万円程度を考えておく必要があります。

ワキガ症状の再発を心配される方も少なくありませんが、ビューホットやミラドライはワキガの原因となる汗腺「アポクリン腺^※1」を熱で破壊しますので、臭いが増幅することは考えられません。

ただ、ミラドライではまれに「術後しばらくして再発した」という方がいらっしゃいます。その原因はマイクロ波によって一時的に活動を止めていた汗腺が、腫れの沈静化とともに活動を再開した結果と考えられています。

ミラドライに限ったことではありませんが、全てのアポクリン腺を完全に除去することは困難です。現在のワキガ治療があくまで「臭いの軽減」を目的としていることは前提として覚えておきましょう。

※1 アポクリン腺

出典元：National Library of Medicine Histology, Apocrine Gland

切らないワキガ治療の大きなメリットは跡が残らないこと

一方、切らないワキガ治療の最大のメリットは「傷跡が残らない」ことです。長年ワキガの標準的な治療法とされてきた「手術」は多かれ少なかれ傷跡が残ってしまうことが最大のボトルネックでしたので、大きな進歩といえるでしょう。

また、皮膚の切開を必要としないため身体的な負担が小さく、当日からシャワーを浴びられます。日帰りで治療をうけることができ、圧迫固定を施す必要もないので、職場や学校などで周りの人に気づかれにくいことも優れたポイントです。

切らないワキガ治療は4種類ある

切らない治療の主な方法とその特徴は次の通りです。

塗り薬：汗腺をふさぐ

汗腺の出口にふたをする作用のある薬剤を塗布することで、ワキガの原因となる汗を減らす方法です。

多汗症治療の塗り薬は、コリン作動性^※2という性質を持っています。この性質がエクリン汗腺（水分を多く含む汗をかく腺）に対して、非常に効果的だと考えられています。ただ、すこし残念なことには、ワキガの原因となるアポクリン腺はアドレナリン作動性の汗腺^※3であるため、塗り薬の効果は少し低くなるかもしれません。

※2 多汗症治療の塗り薬は、コリン作動性

出典元：Two-week prospective observational study of 5% sofpironium bromide gel in Japanese patients with primary axillary hyperhidrosis – PubMed (nih.gov)
出典元：Sofpironium Bromide: First Approval – PubMed (nih.gov)

※3 ワキガの原因となるアポクリン腺はアドレナリン作動性の汗腺

出典元：Neural control of sweat secretion: a review – PubMed (nih.gov)

また、効果は一時的で、多汗症やワキガ症状を根本的に改善するものではありません。日常的に使い続けることが前提となりますので、薬によっては長期的な塗布による体への負担も懸念されます。

ボトックス注射：汗をかく機能を鈍らせる

発汗の指令をだす神経伝達物質「アセチルコリン」^※4を遮断して、ワキの汗を減少させる方法です。個人差はありますが、施術から７日ほどで効きはじめて、3〜6カ月ほど効果が持続します。

エクリン汗腺とアポクリン汗腺の両方に働きかけるため、多汗症だけでなく、ワキガの症状にも効果が認められます。軽度のワキガ症状に向いた治療です。

※4 発汗の指令をだす神経伝達物質「アセチルコリン」

出典元：Mechanisms and controllers of eccrine sweating in humans – PubMed (nih.gov)

ミラドライ：汗腺を破壊してワキガを抑える

多汗症に対する治療機器として厚生労働省から認可が降りている「ミラドライ」を、ワキガ治療に用いる方法です。電子レンジの原理であるマイクロ波をワキの広範囲に照射して、通常の汗のもとであるエクリン汗腺とアポクリン腺を破壊します。そのため効果は永続的です。

ただ、ミラドライは多汗症に対する治療機器であるため、ワキガの原因であるアポクリン腺を狙って照射することはできません。多汗症を併発している方に向いた治療法です。

ビューホット：ワキガの根本から治療する

ビューホットは極細の針をワキに刺入し、高周波の熱を利用してアポクリン腺を破壊する方法です。ワキガ専用の治療機器であるため、照射レベルや深さを変えることでアポクリン腺だけをピンポイントで破壊できます。一度破壊されたアポクリン腺は再生しませんので、再発の心配はありません。

体型やワキの感触から汗腺組織をイメージしながら施術を進めるため、熟練度によって治療結果に差が出ることがあります。中等度から重度のワキガ症状に向いた治療法です。

切らないワキガ治療は安い？料金比較や保険について

切らないワキガ治療は基本的に自由診療となるため、費用はクリニックや病院ごとに異なります。おおよその相場は次の通りですが、あくまで参考に留めておいてください。

塗り薬：病院によって変動

制汗作用がある外用薬としては主に「エクロックゲル」や「パースピレックス」、「塩化アルミニウム溶液」が処方されます。その費用は1本あたり2～4千円程度。多汗症の診断を受けている場合には保険適用となることもあります。

ボトックス注射：約2万円〜

韓国製のボツリヌストキシンであれば2万円前後、米・アラガン社製の「ボトックス」であれば3万円以上の費用が設定されるのが一般的です。両者の効果の差はほとんどないと言われています。

ミラドライ・ビューホット：約30万円

医療機関の設備や手順にもよりますが、30万円が相場です。全身麻酔やクリニック独自の審美性を求めるための特別な処置を受ける場合には、費用が上乗せされるケースもあります。

ワキガ治療で保険は使えるが条件がある

ワキガ手術の標準的な手法「剪除法」は保険適用です。そのためには医師の診断が必要で「悪臭が著しく他人の就業に支障を生じる事実が明確で、客観的に見て医療に委ねる必要がある」と認められることが条件です。軽度のワキガ症状では保険適用とはなりません。

あやべクリニックでできる切らないワキガ治療の流れ

実際に切らない治療を受けるとしたら、どのような手順で治療が進められるのか。私のクリニックでビューホットの治療を受ける際の流れを例に挙げて解説します。

STEP1：カウンセリングと診察

事前にカウンセリングと施術者である私の診察を受けていただきます。来院は完全予約制、完全個室へご案内しますので、プライバシーが守られた環境で十分なカウンセリングを実施することができます。治療方針に納得いただけた場合には費用の案内、お支払いの手続きへと移ります。

STEP2：剃毛

ビューホットの施術では、ワキの表皮を毛のない状態にする必要があります。事前にご自身でも処理をお願いしていますが、剃り残しがある場合には剃毛処置を施します。

STEP3：写真撮影・マーキング

術前術後の比較・確認のために患部を写真撮影します。その後、照射漏れを防ぐためのマーキングをワキに施します。

STEP4：麻酔・治療を実施

マスク麻酔で眠っていただいたのちに施術を開始。事前の診察をもとに、照射レベルや針の深さを細かに調節しながらビューホットを照射します。治療時間は両わきで30〜40分程度。マスク麻酔により眠っている間にすべての治療が完了しますので、痛みを感じることは全くありません。

STEP5：冷却・薬を塗ってアフターケア

施術終了後はそのままベッドでお休みいただき、同時に腫れや炎症を防ぐために施術部位を20分ほど冷却します。目覚めたらワキに軟膏をぬり、ガーゼを貼りつけて施術は終了です。担当の看護師から術後の注意事項と処方薬の説明を受けて、ご帰宅いただきます。

切らないワキガ治療ならビューホット

手術でなくても改善が見込めるワキガ症状であれば、切らない治療を選んだほうが安全でメリットが大きいことは明白です。

そのため、ワキガと同時に多汗症の治療を求めるのであれば「ミラドライ」、軽度の症状で手軽さを重視するなら「ボトックス注射」、といったように切らない治療それぞれの特徴とご自身の症状を照らし合わせて最適な治療法を探るのがベストだと私は考えます。

ただ、純粋にワキガを治したいとお考えであれば、ワキガ専用の治療機器である「ビューホット」をおすすめします。経験豊富な医師の施術でアポクリン腺への確実なアプローチが実現しますので、最小限のリスクで大きな治療効果を生むことができます。これは他の治療法にはない優れた点です。

「ワキガ治療ならビューホットが最適」ーーこれが、30年ものあいだワキガの治療に携わってきた私の実感です。