【画像あり】ワキガ手術で傷跡は残らないの?経過や治療方法


「手術でワキガを治したいけど、傷跡が心配」ーーワキガ手術を検討するときに誰もが抱く悩みです。

ワキガの手術はメスを使った手術である以上、傷跡が全く残らないことはありません。そのため、ワキガ手術における「傷跡が残らない」とは「傷跡が気にならない程度まで改善される」ことだと考えるのが自然です。

そうなると問題は、どの程度の期間どの程度まで傷跡が目立たなくなるのかという点に絞られます。

この記事では、ワキガ手術の傷跡の治癒の経過と残りうる傷跡の種類、傷跡への対処法について、ワキガ治療の専門医の視点から画像を交えて解説します。

執筆者 綾部 誠
福岡美容皮膚科あやべクリニック院長。日本美容外科学会認定美容外科専門医。東京医科大学医学部を卒業後、久留米大学病院の形成外科医師として勤務。1997年に福岡美容皮膚科あやべクリニック開院。美容外科医として30年以上にわたり勤務した経験を活かし、情報発信を行っている。

[目次]

  1. ワキガ手術の傷跡をまったく残さないことはできない
  2. ワキガ手術後にどんな傷跡ができるの?
  3. ワキガ手術の傷跡に対する治療方法
  4. ワキガ手術後の傷跡がひどくならないためのポイント
  5. 傷跡を残さないワキガの治療法
  6. ワキガ治療の傷跡が心配な時は病院に相談しよう

ワキガ手術の傷跡をまったく残さないことはできない

ワキガ手術の標準的な手法として広く知られる「剪除法」は、ワキの切開部から臭い症状の原因「アポクリン腺」を医師の直視下で取り除く手術方法です。

ワキの下を4〜5cmほど切開・縫合しますので、術後にはどうしても傷が残ってしまいます。

主な問題点の種類はふたつ。施術部にできる部分の赤い線状の切開傷と有毛部の色素沈着です。
剪除法では通常、ワキのシワに沿って切開されるため、切開傷は徐々にシワとなじむように改善されます。黒ずみはアポクリン腺を除去する際に表皮の奥にある真皮層を傷つけることで起こりますが、いずれも術後3カ月くらいから改善が見られ、1年が経つころには目立ちにくくなります。

ワキガ手術傷跡の経過

手術の傷跡の経過を追っていきましょう。改善の早さ、目立ち具合などは個人の体質と術後の安静度に大きく左右されますので、あくまで一例として参考にしてください。

術後:ワキには赤く腫れた切開傷が残り、部分的には内出血している様子が見られます。 
1カ月後:切開部がくっつき、腫れが落ち着きます。傷の色合いは赤みがかった暗赤色に変化しています。
3カ月後:切開傷がシワとなじみ始め、目立たなくなり始めます。腫れや赤みが収まり黒ずみとして落ち着きます。
6カ月後:切開傷はより目立たなくなります。黒ずみにも改善の兆候が見られる頃合いです。
12カ月後:いずれの傷跡も周囲の皮膚となじみ、遠目からは傷がわからない程度にまで改善しています。

この後も、時間の経過によって徐々に傷跡は薄くなっていきますので、将来的にはほとんど見分けがつかないレベルまで改善することもあるでしょう。

ただし、上記の経過はあくまで良好な例です。全員が同じように改善するわけではありませんので、長いあいだ傷跡が残る可能性はどうしても排除できません。

あとになって後悔しないためにも、手術の傷跡は「完全に消えるものではない」という認識を持って、慎重に検討しましょう。

ワキガ手術の傷跡がひどくなる原因

ワキガ手術の傷跡がひどくなる主なケースとして挙げられるのは以下の2通りです。

1.傷の離開

術後間もない時期にワキを動かしてしまうと、しかりと縫合しかけていた切開創が再び開いたり、皮膚が剥がれて浮いてしまう恐れがあります。

その場合には、縫合や固定のやり直しが必要になり、皮膚へのダメージから傷が悪化してしまいます。表皮への血流が途絶え、酸素や栄養が不足してしまうと、最悪のケースで「皮膚の壊死」に至ることさえあります。

特に注意したい時期は「抜糸後の2週間」です。抜糸をしたからにはもう大丈夫ーーと気が緩んでしまったばかりに、切開部が離開してしまうケースは本当によく起こることなのです。

抜糸が済んだとしても力が加われば傷口は開いてしまうので、切開部位がしっかりとくっつくまでは気を抜けません。皮膚のすみやかな生着のためには、術後に患部を動かさない「最大限の安静」が必要であることを心に留めておいてください。

2.真皮層へのダメージ

アポクリン腺を除去する際に表皮の奥にある真皮層を傷つけてしまうことで「黒ずみ」が起こります。これはアポクリン腺の一部が真皮層に接しているために起こってしまうもので、くまなく除去しようとすれば自ずとできてしまう傷でもあります。

「黒ずみ」のほとんどは1年ほどで消失しますが、改善に時間がかかるケースも珍しくはありません。1カ月ほどで生まれ変わる表皮と違って真皮層の生まれ変わりには年単位の月日を必要とするからです。

また、「傷が小さく、ダウンタイムが短い」「効果が高い」などのローリスク・ハイリターンを誇張した売り文句で目を引く広告には要注意です。

短い切開であっても傷の悪化のリスクをゼロにはできませんし、切開線が小さければ術野(手術を行っている、目で見える部分のこと)が十分に確保できないので、アポクリン腺の取り残しのリスクは増大します。ダウンタイムが短いのは「真皮層」付近の除去が徹底されていない結果である可能性もあります。たとえ傷が小さくてダウンタイムが短かったとしても、臭いの改善に満足できなければ本末転倒です。

ワキガ手術後にどんな傷跡ができるの?

術後に起こる傷跡は以下の通りです。

成熟瘢痕(せいじゅくはんこん)

<ケロイド・歩行性瘢痕診断・治療指針2018,15頁から引用>

炎症が収まったあとに、白っぽく残る跡が「成熟瘢痕」です。
切開による傷跡に限らず、切り傷や擦り傷を負ったあとに起こる瘢痕で、痛みやかゆみなどの症状はなく時間の経過とともに消失していく傾向があります。

肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)

<ケロイド・歩行性瘢痕診断・治療指針2018,15頁から引用>

傷がふさがった後にも消えない、赤く盛り上がった跡が「肥厚性瘢痕」です。
深い裂傷や、傷の治りに時間を要した場合にできやすい瘢痕で、痛みやかゆみ、ひきつれを伴う場合もあります。起こりやすさには体質が関係しており、「ケロイド」と似た性質を持つことがわかっています。

瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)

日本形成外科学会、瘢痕拘縮から引用>

ひきつれ感があり、動かすと痛みがある傷跡が「瘢痕拘縮」です。
皮膚が張ったような状態になり、運動にも支障をきたすこともあります。肥厚性瘢痕やケロイドを長期間放置したために起こったケースも報告されています。

ワキガ手術の傷跡に対する治療方法

目立つ傷跡に対しての主な対処法として再手術や修正手術が挙げられます。
いずれの処置もあくまで傷跡を目立たなくすることが目的であり、できてしまった傷を完全に消すことはできません。あくまで対症的な治療であると認識しておきましょう。

傷跡の修正手術

手術で傷跡の部分を切除し、再び縫合する方法です。
赤く盛り上がった切開部の傷跡、肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)や、ひきつれの原因である瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)の改善、傷跡が目立たなくなるといった効果が望めます。手術全般に伴う副作用のリスクと、再発の可能性が残る点がデメリットです。経過観察まで含めると6カ月〜12カ月ほどの治療期間を要します。

費用は傷跡の状況によって大きく変動しますが、おおよそ10万円程度です。生活に支障をきたすような症状であった場合には、健康保険が適用されるケースもあります。

レーザー治療

傷跡に特殊なレーザーを照射し、皮膚の再生を促す方法です。
肥厚性瘢痕による皮膚の盛り上がり、赤みや皮膚の黒ずみなどの色素沈着を目立たなくする効果が期待できます。デメリットは、複数回にわたって照射を受けなければ効果が得られないため、費用がかさんでしまうこと。また、傷の程度によっては年単位の治療となる点が挙げられます。

費用は機器の種類によって大きく変動しますが、1回につき2万円程度から。保険が適用されない自由診療です。

ワキガ手術後の傷跡がひどくならないためのポイント

傷跡を少しでも目立たないものにするために気をつけたいポイントは以下の通りです。

経験豊富な病院を選ぶ

ワキガ手術は専門性が高い治療です。
多くの症例数をこなした熟練した医師に担当してもらうことで、術中のトラブルのリスク低減、目立ちにくい縫合、術後のケアに関する適切なアドバイスなど、質の高い治療を受けられる可能性が高まります。

医師の注意事項を守る

傷跡が目立たなくなるかどうかは、術後にどれだけ安静を保てるかにかかっています。
術後のワキにはテニスボールほどの大きさに丸めたガーゼで施術部位を圧迫固定する「タイオーバー」を施すことが必須で、そのあいだ肩肘を動かすことは許されません。テープかぶれなどの不快な症状を引き起こしても、抜糸までの2週間程度は入浴もままならず、激しい運動も1カ月は控えることになります。
この厳しい行動制限で手術を後悔される方も少なくありません。ともあれ、医師からの「ワキの安静」に関する注意事項を徹底的に守るという強い決意で治療に臨むことが大切です。

自宅でのスキンケア

保湿や抗炎症、肌の再生促進、美白効果のあるクリームを処方される病院もあります。
手術の傷は一般的な裂傷や擦傷とは異なる専門的な領域の傷ですので、用法用量を変えたり、市販薬の使用について個人で判断するのは大変危険です。日々のケアは必ず専門医に相談の上、指示の通りにおこないましょう。

傷跡を残さないワキガの治療法

よほど重いワキガ症状でない限りは、傷のリスクと隣り合わせの手術でなくても改善できる見込みがあります。ワキガの治療ではどのような方法にも「一長一短」がありますので、一定の費用はかかりますが、自由診療の「切らない治療」で傷跡が残らない道を選ぶのもひとつの手です。

ミラドライ

多汗症治療の認可を受けている「ミラドライ」という機器をワキガ治療に転用した施術方法です。
電子レンジの原理であるマイクロ波をワキに照射して、原因となる汗腺を破壊します。

切開が不要なので傷が残らず、当日からシャワーを浴びられます。術後に腫れや痛み、内出血が生じることがありますが、ほとんどの場合は1週間程度で落ち着きます。

デメリットとしては、元は多汗症の治療用で表皮からまんべんなく照射するタイプの機器なので、アポクリン腺を狙って破壊することができない点と、1回の施術で臭いをゼロにするのは難しい点です。

永続的な症状改善が期待できる、中〜重度のワキガ症状に向いた治療法で費用は20万円程度。健康保険の適用はありません。

ビューホット

ビューホット

ワキガ専用の治療機器である「ビューホット」を使用した施術方法です。極細の針先に高周波を流して臭いの原因となるアポクリン腺を破壊します。

照射レベルや深さでアポクリン腺だけを狙った治療が可能ですので周りの組織へのダメージが少なく、切開が不要なので傷跡はほとんど残りません。術後の生活制限がなく、当日からシャワーが浴びられます。

術後に患部の赤みが残りますが2週間ほどで消失、針の跡も3カ月ほどで消えてしまいますので、将来まで傷が残る心配はありません。

デメリットとして、重度のワキガ症状では1回の施術で臭いをゼロにするのは難しい点、施術者の熟練度によって治療効果に差が出てしまうという点が挙げられます。

永続的な症状改善が見込める、中〜重度のワキガ症状に向いた治療法で、費用は30万円程度。健康保険の適用はありません。

ワキガ治療の傷跡が心配な時は病院に相談しよう

手術、切らない治療、どちらにも言えることですが、適切なワキガの治療の背景には積み重ねてきた「経験」があります。

どれだけ多くのワキガ症状と真剣に向き合ってきたかが治療の技術力を決め、術後の結果にも影響を及ぼします。これは専門医として30年以上、ワキガ治療に携わってきた私が身をもって得た知見です。

私のクリニックの話をさせてもらうなら、通算2,000例を超える国内最大級の治療実績をビューホットで築いており、その全てのカウンセリングと施術を院長である私自身が担当することで、子どもから大人まで多くの方にご満足いただいています。

ワキガの治療は人生の一大事。信頼できる経験豊富な専門医を味方につけて、後顧の憂いなく治療に専念しましょう。

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